「おい!誰かそのガキを捕まえてくれ!」
店主の怒鳴り声をバックに人の溢れかえる繁華街を走り抜ける。
余所見してていいのかなぁ…。
案の定、他のガキどもが一斉に、店頭に並んだ果物を掴み散って行く。
謀ったわけでも無いのに、見事としか言いようのないチームワーク。
巧く逃げ切り、狭い裏路地に身を潜め、戦利品に歯を立てた。
果汁が喉を潤し、安堵の溜息。
祭りが近い所為で浮足立つこの時期は、食料が手に入り易い。
ホント、神様々だね。
俺は神ってのを信じちゃいないけど、存在を否定するわけでも無い。
信じていないと言うか、居ても居なくてもどっちでもいいのだ。
要は神って過程じゃなくて結果だろ?
神が存在するかなんて、考えても答えは出ないし、都合のいいときだけ信じてれば充分じゃない?占いみたいに。
それでも一応、神様に感謝して最後の一口を飲み込んだ。