朝、目を開けて、とりあえず生きていることを知る。

それほど生に執着はないけど、わざわざ死にたがるほど酔狂じゃない。

ここの浮浪者の大概はそうだ。

生きる希望なんかとっくの昔に捨てた。

でも、腹は減る。

野良猫とマジで残飯の取り合いもするし、盗みだって数え切れないくらいやってる。

自尊心に羞恥心?

生きてることがプライドだし、のたれ死ぬのは恥だと、俺は思ってるけど?

俺なんかマシな方だぜ?

五体満足で健康体。

目も見えるし口も利ける。

耳も聞こえるし文字まで読めるときたもんだ。

ふと見上げた空に、鳥が一羽飛んでいた。

翼は自由の象徴と言うが、空が飛べたくらいで自由だなんて。

飛べるようになったところで、空に標識と、交通ルールができるだけさ。

柄にも無く、現実味の無いことを思った。

空腹が、俺の頭を支配する。

…ゴミ箱漁りに行きますか。