朝、目を開けて、昨夜と何も変わらない白い天井に気が滅入る。
体を起こして呼び鈴を振り、侍女を呼んだ。
「毎日のことながら、早いお目覚めに感心する他ありません」
ふっくらとした頬を綻ばせて、彼女は私にドレスを着せる。
着替えを終えた直後、軽いノック音。
入ってきたのは…
「姫様、隣国の侯爵様が金糸雀をくださいましたわ」
黄色い、鳥。
「まぁ、なんて愛らしいのでしょう」
青みがかった美しい金の羽。
人の脳が識別する、ただの光の波長なのに、それだけの理由で捕まった、この鳥。
「可愛らしい声…。姫様、すぐにお礼の手紙を」
その声は間違っても、人を楽しませるためのものではないのに。
偶然、その空気振動の周波が人に心地良さを与えるものだったばかりに、籠にいれられた、この鳥。
「…そうですね」