「透明」 ―謝罪―
「でね、聞いてよ!」
ごめんなさい。
本当に、その言葉しか浮かばないんです。
すごく場違いで。
ごめんなさい。
土下座さえも厭わないから、許してください。
泣き出したいです。
本当に、拷問に近いんです。
ごめんなさい。
「どうして謝るの?」って笑われても。
それでも、謝って許してもらえるなら何度でも謝ろうと思うくらい、駄目なんです。
ごめんなさい。
私がこんなことを言うのは、お門違いもいいところなのだろうけれど。
でも申し訳ないと、本当に思うんです。
ごめんなさい。
ここにいるのが私でごめんなさい。
「あいつ最近調子乗ってるし。マジうざいってーの!」
…人が、人の誹謗中傷を話してるのを聞くことがとても苦痛なんです。
良い子を気取るつもりは毛頭ありません。
ただ、人の負の感情が剥き出しになって襲ってくるのは、ひどく怖いのです。
なんとか誤魔化して受け流すのですが。
本当に憎悪のこもったものは、曖昧な苦笑が保てなくなってしまうのです。
だから、捕まってしまったときは泣きたくなります。
この道を通らなければ。
もう少し時間が早ければ、あるいは遅ければ。
「ホント、死ねって感じ」
巻き込まれなかったかもしれないのに。
つまらない人間である私はその声を止めることも、この耳を塞ぐこともできないで。
相槌をうちながら表情がバレないように口元を手で覆って。
この時が少しでも早く終わることを祈りながら、ただただ、反芻するのです。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
許してください。